「ふは、千夏子ちゃん最高~」 何とも言えない気まずい空気が流れる中、愉しそうな笑い声を漏らしながら現れたのは由紀さんだった。 どこに隠れていたのか知らないけど、今の私たちの姿はばっちり見られていたらしい。 「わ、私はそろそろ部屋に戻りますね」 立ち上がって尊さんたちに背を向ければ、後ろから手首をつかまれて引き止められる。 「千夏子ちゃん、忘れ物」 「え? 何ですか……」 振り向けば、おでこにやわらかなものが触れた。