「千夏子ちゃん。一哉とキスしたって本当?」
「っ、ごほっ、……それ、誰から聞いたんですか?」
「由紀が言ってたよ。はじめは冗談かと思ったけど、由紀も玲も怖い顔してたから、本当なんだなって思ってさ。眠れないのも、それが原因なんじゃないの?」
――そう、肝試し中に起こったハプニングは、脅かし役として隠れていたらしい由紀さんと、それに付き合わされていた玲くんにばっちり見られちゃったんだよね。
まさか尊さんに話しているとは思ってなかったけど……。
「で、でも、あれは事故ですし、それに唇同士が触れたわけじゃないんです! 転んだ拍子に、一哉くんの口が私の口の横あたりに当たっただけで……」
「それって、ここらへん?」
尊さんの指先が、私の口の端に触れる。
尊さんから放たれている甘やかな空気にドキリとしてしまいながらも、私はコクコクと頷く。



