「ワリィ、速かったよな」
「ううん、だいじょうぶだよ」
「ったく、それにしても、誰が肝試しなんて幼稚な企画を立てたんだよ。つまらねぇし、早く終わらせて……って、うおっ! ……チッ、風か」
茂みが揺れた音に反応した一哉くんは、ビクリと肩を震わせて視線をさまよわせている。
だけど何もないことが分かると、苛ただし気に舌を打った。
――さっきから思っていたけど、もしかして一哉くんって……。
「一哉くん、肝試しとかはあんまり得意じゃない感じ?」
「っ、はぁ? そんなわけねーだろ! こんなの全然余裕だわ!」
そう言っているけど、さっきから全然目が合わないんだよね。
声も少し震えている気がするし……。
強がってはいるけど、本当は怖いんだろうな。



