「ねぇ千夏子、食べさせてよ」

「え、いやだよ。自分で食べられるよね?」

「え~、無理。興味ない長い話聞かされて疲れてるし。もう腕上げるのもめんどくさい」


周りの視線も気になるし早く食べてしまおうと思ったけど――またまた慎くんの我儘が発動してしまった。


▶無視する

▶断る

▶食べさせる


頭の中に選択肢のコマンドが浮かぶ。

だけどゆっくり考えている暇もなく、慎くんに「千夏子、早く~」と急かされてしまう。

……何だか、大きな赤ちゃんを相手にしている気分になってきた。


女子からの視線がビシビシ突き刺さってくるのを感じるけど、慎くんは口を開けたまま動かないし。


――あぁ、もう知らない! どうにでもなれ……!