「千夏子は相変わらずいっぱい食べるね」

「普通だよ。慎くんの食べる量が少なすぎるだけだと思うけど」


慎くんだった。

慎くんが持っている皿には、私の皿の半分ほどの量しか盛られていない。

……それだけで足りるのかな? 

というかそんなに小食なのに、どうやってそこまで大きく育ったのかが気になるところだ。


「千夏子、行こ」

「え、行くってどこに? ……言っておくけど、私は友達と食べるから、慎くんは別のところで食べてね」


今の時点でも近くにいる女の子たちからの視線を感じるのに、一緒に食事なんてしたら、またヒソヒソと噂されるに決まってる。

これ以上悪目立ちはしたくない。


「千夏子は俺のとなりね」

「え、ちょっと慎くん、待って……零れちゃうから……!」

「あ、あそこの席にしよ」


だけど慎くんは私の言うことなんてさらっと聞き流して、トレーを持っていない方の手で私の腕を掴んだ。

そしてそのまま、強制的に慎くんの隣の席まで連れていかれる。