「そうそう。玲の言う通り、俺も千夏子ちゃんが心配でさぁ。だってほら、年頃の男女が一つ屋根の下とか、何か間違いがあるかもしれねぇじゃん?」

「学校行事でそんなことが起きる心配はありませんので、大丈夫です」


ニヤニヤと笑っている由紀さんの心配をばっさりと否定していれば、つい先ほどまでは聞こえていた生徒たちの賑やかな声が聞こえなくなっていることに気づいた。

もう皆移動してしまったのかもしれない。


「って、早くホールに行かないと! それじゃあ尊さんは、また会場で。二人は先生に見つかって怒られる前に、早く帰ったほうがいいですよ」


だけどこのまま遅れたら、怒られるのは私の方だ。

話を切り上げて、急いでホールに向かう。


「あ、千夏子やっときた。先に行ってたはずなのに姿が見えないから、心配したよ。もしかして迷ってたの?」

「えっと、うん。まぁそんな感じかな」