「えっと、尊さんがくることは聞いてたんですけど……どうして二人がここに? もしかして幻覚? それともそっくりさん?」

「千夏子ちゃんってば、幻覚見ちゃうくらい俺らに会いたかったんだ? ハグしてあげよっか?」

「このチャラい感じは、本物の由紀さん!」

「え~、チャラいってひどくね?」


顔を近づけてきた由紀さんから、甘さを感じるシトラスの香りが漂ってくる。

私は咄嗟に距離をとってから、玲くんの方に視線を向けた。

だって、由紀さんよりも確実にまともな回答をしてくれそうだから。


「千夏子さん、すみません。俺は純粋に、千夏子さんが心配で……あと、慎と一哉ばっかりずるいなって思って。付いてきちゃいました」

「うん、その、心配してくれる気持ちは嬉しいんだけど……」


玲くんのにっこり笑顔には、とっても癒されるんだけどね。

付いてきちゃいましたって、それは大丈夫なのかな? 先生に怒られたりしない?