「千夏子、私トイレに行ってくるから先に行ってて」

「うん、わかった」


朱里ちゃんと一旦別れてホールに向かっていれば、後ろから肩を叩かれる。


「千夏子ちゃん」

「尊さん! もう来てたんですね」

「うん。俺も一年生のバスに乗せてもらってきたんだ。千夏子ちゃんとは違うバスだったね」


学校の制服を着ている尊さんは、高校二年生だ。

それなのにどうしてこの場にいるのかと言えば、私たち一年生に学校生活の話をするために、先生から参加してほしいと頼まれたんだって。


尊さんは、学校で優等生として通っているみたい。

この前玲くんに聞いた話だと、テストではいつも学年三位以内に入っているらしい。

だから、先生からの評判も良くて信頼も厚いんだって。


だからまぁ、尊さんがこの場にいることは理解できるんだよ。だけどね……。


「やっほー千夏子ちゃん」

「千夏子さん、バス酔いはしてないですか?」


――どうして由紀さんと玲くんまで、ここにいるんでしょうか。