「……そしたら由紀さん、犯罪者になって捕まっちゃいますよ。私だったら嫌ですけどね、自分のせいで好きな人が牢屋行きになるなんて」
トパーズを思わせる鮮やかな黄色の瞳を見つめ返す。
すると由紀さんは、妖艶な笑みを潜めて、ニコリといつもの緩い笑みを浮かべる。
「んー、千夏子ちゃんがそう言うなら、殺すのは止めとこうかな」
「……そうですか」
「つーか腹減ったなぁ。この卵焼き、ちょっとだけつまみ食いしてもいい?」
すっかり普段の調子に戻った由紀さんは、私の了承を待つことなく卵焼きを一切れつまんで頬張っている。
――さっきの由紀さん、今まで感じたことのないゾクッとするような雰囲気があって、少しだけ怖かったな。
何を考えているのか分からない人だけど……生半可な気持ちで下手に探ろうとするのは、危険な気がする。
私は小さく頭を振って気持ちを切り替え、皆の分の味噌汁やご飯をお椀に盛っていくことにした。



