「……あー、ワリィ。手、痛かった?」
「いえ、全然大丈夫ですよ。何か嫌な夢でもみてたんですか?」
「うん、まぁ……そんなとこ」
力なく笑った由紀さんは、起こしかけていた上半身をまたベッドに沈めた。
そして、左手で私の手を握ってくる。
熱い手は弱々しくて、少し震えているようにも感じる。
「なぁ、千夏子ちゃん。どこも行かないで……ずっとここにいて」
「……はい、私はここにいますよ。だから、安心して眠ってくださいね」
「……ん」
私の言葉に、由紀さんは安心した様子で微笑んだ。何だか小さな子どもみたいだ。
普段の悪ふざけばかりしている姿を知っている分、素直な由紀さんは新鮮で微笑ましく感じてしまう。
(由紀さんが、もう悪夢を見ることがありませんように。早く良くなりますように)
そう心の中で願いながら、掴まれた手をそっと握り返した。



