「そうですか? まぁ、ウチの父も時々熱を出して寝込んでいたので。看病には慣れてるかもです」
「そっか。……つっても俺は母親なんていなかったも当然だから、想像でしかねーけどな」
そう話す由紀さんの黄色い瞳が、寂しそうに揺らいでいる気がする。
――でも、“いなかったも当然”っていうのは、どういう意味なんだろう?
気になるけど、踏み込んでいいのか分からない。
躊躇している間に、由紀さんは頼りない雰囲気を消し去って、いつものわざとふざけたような態度をとる。
「でも千夏子ちゃんに看病してもらえんなら、たまには熱出すのも、悪くねーかもな」
「……はいはい、軽口を叩く元気はあるみたいでよかったです」
「え~、俺、本気で言ってるんだけど」
由紀さんはへらりとした笑みを浮かべる。
まだ辛そうだけど、着替えて冷えピタも貼ってすっきりしたことで、少しは楽になったのかもしれない。



