「一哉くんたちに聞きました。由紀さん、体調が悪いんですよね? 熱ははかりましたか?」
「……はかってない」
「それじゃあ、これ。体温計です。はかってみてください。それから汗をかいていると思うので、着替えちゃいましょう。タオルはこれです。替えの服はこれでいいですか?」
「……ん」
由紀さんに体温計を手渡してから、ベッドに背を向けて床に散らばっている雑誌やら服やらを片付けていく。
その中に、かなり際どい格好をした大人なお姉さんが載っている雑誌もあったけど……それはなるべく見ないようにして、端の方にまとめておいた。
「由紀さん、着替え終わりましたか?」
「……ん、おっけ」
「熱は何度でしたか?」
「三十八度」
「結構高いですね。はい、これ冷えピタです。それから、薬を飲む前に何か食べた方がいいかと思って、卵粥を作ってきたんです。あと林檎もありますけど、食べられそうですか?」
「……ん、少しなら」



