「受け止めてやるから、そのまま飛び降りてこい」
「飛び降りて……? って、無理無理! 一哉くんがつぶれちゃうから!」
「ならお前、ずっとそこにいるつもりかよ」
「も、もう少しだけ待ってもらえれば……」
「いつまで待たせるつもりだよ。そろそろ帰らねぇと、夕飯の支度に間に合わないんじゃねーの」
「うっ、それは確かに……」
澄み渡っていた青空は、すっかり夕暮れ色に染まっている。
慎くんのリクエストで、今日はグラタンを作る予定だ。
一哉くんの言う通り、そろそろ帰って作り始めないと間に合わないかもしれない。
「いいから、早くしろよ。……んな不安そうにしなくても、お前一人くらい余裕で受けとめられるから」
「……分かった。それじゃあ、せーので飛び下りるからね。いくよ、せーのっ!」



