「あの、ちなみに、他の女性の方たちはどちらにいらっしゃるんですか?」
一向に姿が見えないことが不思議で尋ねてみれば、組長さんは苦い笑みを浮かべる。
「いやぁ、実はな……どうやら皆さん、辞退しちまったようだ」
「じ、辞退ですか?」
「つーか、単にこの家にビビったんだろ?」
美波さんが笑いながら、付け足すように言う。
――ビビった。
それはつまり、極道(ヤクザ)の家にってことだよね?
「まぁ、そういうことだな。ったく、オマエらの素行が悪いから、お嬢さん方に怖がられるんだろーが」
「あはは、すみません」
組長さんの叱咤の言葉に、一色さんが軽い調子で謝罪する。



