「ちょっと待っててね。私がとってくるから」
「え、姉ちゃんが?」
「大丈夫かよ?」
「大丈夫! こう見えてお姉さん、木登りは得意な方だったから」
今日はジーンズを履いてきていてよかった。
子どもたちに笑いかけた私は、木の幹に足を引っかけて、するすると上まで登っていく。
そして木の枝に引っかかっていた紙飛行機まで難なく辿り着くことができた。
「それじゃあ、飛ばすよ~」
木の上から紙飛行機を飛ばしてあげれば、子どもたちは「わ~!」と楽しそうな声を上げながら、紙飛行機を追いかけていった。
私も木から下りようと思ったんだけど……どうしよう。
下を見てしまったら思ったよりも高くて、ちょっと怖くなってきた。
「おい。お前、一人で何やってんだよ」
木の上で固まっていれば、お手洗いに行っていた一哉くんが戻ってきていた。
呆れた顔をして私を見上げている。



