「……中、見ていくか?」
「え? 私も入っていいの?」
「あぁ。山田さん……さっきの女の人な。あの人もゆっくりしてけって言ってただろ」
部外者の私が本当に入って大丈夫なのかと迷っていれば、建物の出入り口で様子を窺っていた子どもたちが、こちらに駆け寄ってきた。
「ねぇ、お姉ちゃんだれ?」
「もしかして、一哉の彼女とか?」
「っ、はぁ!? 違うにきまってんだろ!」
「あー、赤くなってる。図星だ図星~」
「一哉、良かったじゃん!」
「っ、お前らなぁ~!」
「うわ~、一哉が怒ったー!」
「逃げろ逃げろ~!」
男の子たちに揶揄われた一哉くんは、顔を真っ赤にして男の子たちを追いかけていった。



