「あら、ここに何か用かしら?」
「っ、あ、あの、すみません! 決して怪しい者ではなくて……!」
後ろから声を掛けられて振り返れば、白髪交じりの髪をした年配の女性が立っていた。
多分、この施設の職員の方だろう。
不思議そうに首をかしげている。
確かに、門のそばで敷地内を覗き込んでいる女なんて、不審者極まりないよね。
「あの、子どもたちの元気な声が聞こえてきたので、気になってしまって。失礼しました……!」
一哉君に見つかってしまう前に、急いでこの場から立ち去ろうと思った。
女性に頭を下げて、踵を返そうとする。だけど……。
「って、何でお前がここにいるんだよ!?」
――速攻で一哉くんにバレてしまった。



