そして、少し距離を空けて一哉くんの後をつけること十数分ほど。
たどり着いた場所にあったのは、赤い屋根にクリーム色の外壁をした、大きな一軒家に近い見た目をした建物だった。
敷地内はかなり広く、庭にはすべり台といった遊具も置いてある。
表札には“ひまわり荘”と書いてあった。
(もしかしてここって、児童養護施設?)
一哉くんは躊躇することなく敷地内に入っていった。
門のそばに隠れて様子を窺っていれば、わっと大きな歓声が聞こえてくる。
「あー! 一哉兄ちゃんだ!」
「一哉、今日はサッカーしようぜ!」
「えー、まずは鬼ごっこがいい!」
「あー、分かった分かった! 全部やればいいんだろ。順番にな」
子どもたちに囲まれている一哉くんの様子からして、ここに来たのは初めてではないんだろう。
さっき私が拾った紙も、この施設の子どもからもらったものなのかもしれない。



