「あっれ? 藤春じゃね?」 学校であった他愛のない出来事を話しながら歩いていれば、玲くんと同じ制服を着ている男の子たちに声を掛けられる。 友達だろうか? 「チッ、めんどくせぇ……。着替えてくればよかった」 よく聞き取れなかったけど、玲くんがボソリと呟いた。 「玲くんのお友達?」 「いいえ、違います。千夏子さん、早く行きましょう」 (あれ、友達じゃないのかな……?) 玲くんは私の手を握ると、さっさと歩き出そうとする。 けれどそれを引き止めるようにして、男の子たちは後を追いかけてくる。