警視正は彼女の心を逮捕する

 連れていかれたのは、がっつりとした定食屋さん。
 ……だから朝、男の人にしては軽めの食事だったんだと納得する。
 ん? 
 ということは、ジョギングしてたときから私を連れ出そうとしてくれていた?

「レディースセットだとデザートがついてくるみたいだよ」

 メニューブックを見せられ、私は考えを中断する。
 じっくり見て、鷹士さんの勧めてくれたセットにした。


「意外」

 食べ終わったあと、鷹士さんに話しかけられた。

「なにがですか?」
「日菜乃ちゃん、細いから残すかと思った」

 鷹士さんの言葉に私は笑う。

「師匠のところで『ヒナノは食べなさすぎ! 私の家で暮らすからには太らすわよ!』と、どんどんおかわりさせられたんです」

 おかげで、たくさん食べるようになった。
 ……帰国して、悠真さんと暮らし始めたときの私があまりに食べるから。
『女性は我慢したほうが奥ゆかしいね』と、いかつい笑みを浮かべた悠真さんに遠回しだけど言われてしまった。
 以来、控えていた。

 込み上げてきた苦い思いを、私は香ばしいほうじ茶で飲み下す。

「修復は体力ですから!」 

 力こぶを作るフリをしたら、仕事って最後は体力だよなと鷹士さんは笑ってくれる。