その息尽きるまで時間は無限

母はイジメを知らない。

いや、私が言ってない
言えない
言わせてもらえない




母は父と離婚してからうってかわってしまった。

明るかったのに。優しかったのに。


私がイジメられているのも、確実に気づいている。



なぜなら、一度、埃のついた弁当を丸々残して持ち帰ったとき、気にも留めてくれなかったから。

私は焦って、

『お、お母さん?!それ、お弁当だよ?!…あの、ね、それ、クラスメイトの…』



と、佳凪たちの事を話そうとしたが…。



『あのね?!衣、もうやめて。お母さんね、最近すごく疲れてるの。“これ”が衣の仕業じゃなくても、迷惑なの。“イジメ”だなんて言わないで。ご近所さんからも悪く思われちゃうし、会社でもどうなるか分からない。もうつかれた。いやなの。分かるでしょ?わかったらそれ以上聞かせないで。』

こうまくしたてられ、私は何も言えなかった。

私には兄弟もいないし…身内に救いもいなかった。友達だって、イジメのせいでできるわけがない。

結局、母は周りからの視線ばかり気にして、相手にしてくれない。