どうしても足が進まない。

先ほど呼ばれてから十分も経っている。


トイレまではそう遠くないのに。


でも足が重い。
進まない。


膝を床につき、うなだれる。

頭の中が嫌な妄想に飲み込まれ、頭も重い。



すると、後ろから
「は?!濡沢、てめぇこんなとこにいたのかよ!」
楓の声がした。

なかなか来ない私に苛立ったのだろう。
後ろから3人も来る。

周りはまだ生徒がいて、何事かとこっちを見ている。


佳凪たちは人目など気にしない。
なぜなら、佳凪に逆らったらとんでもないことになるというのを、全員に暗黙の了解のようなもので叩き込んでいるからだ。