公園に入ると、懐かしい光景が広がった。

苦しかった胸が別の気持ちで紛らわされる。


少し安心した。

まだ恐怖は奥底にわだかまっているけど。



昔よりずいぶん小さく感じるブランコに腰を下ろす。



思いきり、肺に、澄んだ空気を溜める。


想像以上に冷たくて鼻の奥が痛くなった。



そして、口から、吐き出す、



肩の力が抜けて、空も飛べそうなほど体が軽くなった。
頭まで軽い。


足で地面を蹴って、ブランコを久々に楽しんでみる。



懐かしい、この高い視界と受ける風が、また心を洗ってくれる。





現実逃避もいいところだ。

どんだけ思い出に浸っても、息を吐いても、心の1番でっかい黒はちっとも薄まらないというのに。




どんだけ深呼吸しても、喉が詰まる感覚は取れない。