どんどん人が消える。
梓は1軍女子、2軍女子から悪口を言われるようになった。
「あっち行ってレズ」
「レズの人とご飯食べる気ないんで」
「ノエル正論〜!」
幸い見渡せばまだノエルや美波、亜里沙くらいしか悪口を言う人はいないし、反抗する子だっている。
でも全然歯止めが立たない。
「のぞみちゃん…」
「夕美?」
夕美がなぜ私に…
「正直言って、自分も梓の悪口を止めたいとは思ってる。でも、思ってるだけで、全然止める方法がわからなくて、少し諦めてる。だから止める方法を必死に模索しているのぞみちゃんは、すごいんだなって」
「私は全然すごくない」
止める方法なんて、ただの手探りだ。
夕美は、1軍でも、根はちゃんと真面目な子だと思っている。
どうしたらいいんだろう。
こういうことするだけで私の心ははち切れそうなのに、今日もゲームがいつかやってくる。
ほんと無慈悲だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝食後しばらく梓がいなかった。
悪口が嫌で逃げてるのかもしれない。
そう思うと、自分の無力さがじみじみ伝わってくる。
ところで、愛菜はどこだろう。
「愛菜ーーーーー!」
「きゃあああああああ」
何!?
しかも間違いなく愛菜の声。
愛菜!
「愛菜!どこ!」
「家庭科室!」
家庭科室に吸い寄せられるように人が集まる。
家庭科室のドアを勢いよく開ける。
「えっ…」
そこには、血まみれで震えてる愛菜と、
ナイフが刺さった梓がいた。
「梓!!!!!!」
梓の脈を測る。
手が赤色に染まる。
私は首を振った。
「生きてない…」
「ナイフの向きを見ると、自殺のようね…」
かなたは冷静かのように言い放っているけど足が震えてる。
自殺なら、愛菜の血は返り血…
「もういやああああああああああ」
愛菜の叫び声が、家庭科室に響き渡る。
ピーンポーンパーンポーン。
今更!?
そしてあやめの人が梓を運び出す。
仕方なく愛菜を支えながら校庭へ行く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目の前で自殺を見た。
これは相当なトラウマになる。
愛菜が危ない…
死のルーレットがくるくる周る。
【第4ゲーム】
山内新名(やまうちにいな)(元1年2組)
救出人:古田由紀(ふるたゆき)(元1年1組)
特になんの接点もない2人が選ばれた。
ゲームはどうなるんだろう。
『移動したね?それではスタート!』
死のタイマーが音を立てる。
「じゃあ、必ず助けるからね!新名ちゃん!」
「早くしてねーーー!」
校舎へ由紀が向かい、モニターに由紀が映った。
『ボタン…見つかるかな…?』
美香はダメだったから、もしや新名も…?
いやいやいや、美香がたまたま運悪くボタンが見つからなかっただけ…
…絶対どうにかなる!…はず…
残り時間があっという間に30分になった。
全くボタンが見つからない。
やはり救出人が有利だ。このゲームは。
『全く見つからない…ヤバい…』
このままだと、死ぬのは新名だ。
どうしよう…
ここで助かっても、後で死ぬかもしれない。
でも、とにかく今は生きることを祈るしかない。
祈るしかできない私。
無力だなあ…
こういう時に限って、時間は早く過ぎてしまった。
ビーーーーーーーー!
【死亡者】
山内新名(元1年2組)
…だよね。
「由紀…」
新名の顔はどんどん青ざめる。
ドローンが由紀を連れ出す。
すると突然ハッとした。
由紀が全然表情を変えてない。
普段の由紀なら、怖がってそうなのに。
今クラスメイトが目の前で死ぬんだよ?
なのに全然表情を変えてない。
「…どうしたの由紀…なんか様子がおかしいよ?」
新名も異変に気づく。
「おかしいのはあんただよ」
!?
今目の前にいる由紀はまるで別人のように声が低くなっていて、目元に影が落ちていた。
「ど、どういうこと!?」
「あんたのこと、最初から生かす気皆無だから」
「ええ!?」
最初から生かす気なし!?
「あんたのせいで、「あの人」はもういないんだよ!」
あの人?
しかし新名は「あの人」のことを察したらしい。
「ご、ごめん!今謝るから、謝るから取り消して!」
「謝ってもどうにもならない!」
「いやー!あやめ!取り消して!死にたくない!」
『取り消す気皆無でーす!バーイ!山内新名さん?』
そしてプシューとガラス張りの部屋に毒ガスが充満する。
「やだ!やだ!ごめん…な…」
謝罪の言葉もやがて途切れ、毒ガスが引いていく。
「そんな…!」
東野優希(ひがしのゆうき)が梅崎凛(うめざきりん)とともに衝撃を受けている。
「由紀…ちゃん…」
最初から新名を恨んでいたなんて…
やはり「あの事件」と関係が?
由紀に目をやる。
何かを…持っている?
「ノエル!!!!」
美波の声がした。
するとそこには恐ろしい顔をした由紀がいた。
手にはカッターがある。
え…?
「元1の2、全員死ねーーーーーー!」
どうしよう…!
このままではノエルが殺される。
でも何もできない…!
目を閉じる。
グサッ。
「ぎゃあっ」
しかし最初に聞こえたのは由紀の声だった。
え?
恐る恐る目を開ける。
するとそこには逆にノエルに刺された由紀がいた。
「な…」
「私も元からこうする気だったんで。あはは」
そして由紀は倒れ、ノエルは美波のとこへ向かう。
「バカみたいなやつだったわ」
「ノエルナイス〜!」
美波とノエルは本当に人間なの?
人の死を笑って、「ナイス」だなんて。
「美波、ノエル!こんなのおかしいよ!あんたたちは人の死を笑ってるの?」
夕美の声と私の心の声が一致した。
「バカね、別にあんた友達だなんて思ってないから」
「!」
そんな…
夕美がノエルと美波以外の人物と喋っているところは見たことない。
夕美の居場所が完全に亡くなってしまった。
「夕美…」
「いいよ。のぞみには関係ない」
そう作り笑いをして、夕美は校庭を後にした。
一方、愛菜に聞きたいことがある。
「愛菜、夕美や由紀やノエルたちが言ってた『あの事件』ってなんなの?」
しばらく沈黙が続いた。
愛菜?
そしてようやく愛菜は口を開いた。
「知ってるけど、今ののぞみは知らなくていい」
…なるほど…
愛菜がそういうなら、知らなくていいのかな…
死亡者:斉藤梓(元1年2組)、山内新名(元1年2組)、古田由紀(元1年1組)
残り13人
16ー3=13
梓は1軍女子、2軍女子から悪口を言われるようになった。
「あっち行ってレズ」
「レズの人とご飯食べる気ないんで」
「ノエル正論〜!」
幸い見渡せばまだノエルや美波、亜里沙くらいしか悪口を言う人はいないし、反抗する子だっている。
でも全然歯止めが立たない。
「のぞみちゃん…」
「夕美?」
夕美がなぜ私に…
「正直言って、自分も梓の悪口を止めたいとは思ってる。でも、思ってるだけで、全然止める方法がわからなくて、少し諦めてる。だから止める方法を必死に模索しているのぞみちゃんは、すごいんだなって」
「私は全然すごくない」
止める方法なんて、ただの手探りだ。
夕美は、1軍でも、根はちゃんと真面目な子だと思っている。
どうしたらいいんだろう。
こういうことするだけで私の心ははち切れそうなのに、今日もゲームがいつかやってくる。
ほんと無慈悲だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝食後しばらく梓がいなかった。
悪口が嫌で逃げてるのかもしれない。
そう思うと、自分の無力さがじみじみ伝わってくる。
ところで、愛菜はどこだろう。
「愛菜ーーーーー!」
「きゃあああああああ」
何!?
しかも間違いなく愛菜の声。
愛菜!
「愛菜!どこ!」
「家庭科室!」
家庭科室に吸い寄せられるように人が集まる。
家庭科室のドアを勢いよく開ける。
「えっ…」
そこには、血まみれで震えてる愛菜と、
ナイフが刺さった梓がいた。
「梓!!!!!!」
梓の脈を測る。
手が赤色に染まる。
私は首を振った。
「生きてない…」
「ナイフの向きを見ると、自殺のようね…」
かなたは冷静かのように言い放っているけど足が震えてる。
自殺なら、愛菜の血は返り血…
「もういやああああああああああ」
愛菜の叫び声が、家庭科室に響き渡る。
ピーンポーンパーンポーン。
今更!?
そしてあやめの人が梓を運び出す。
仕方なく愛菜を支えながら校庭へ行く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目の前で自殺を見た。
これは相当なトラウマになる。
愛菜が危ない…
死のルーレットがくるくる周る。
【第4ゲーム】
山内新名(やまうちにいな)(元1年2組)
救出人:古田由紀(ふるたゆき)(元1年1組)
特になんの接点もない2人が選ばれた。
ゲームはどうなるんだろう。
『移動したね?それではスタート!』
死のタイマーが音を立てる。
「じゃあ、必ず助けるからね!新名ちゃん!」
「早くしてねーーー!」
校舎へ由紀が向かい、モニターに由紀が映った。
『ボタン…見つかるかな…?』
美香はダメだったから、もしや新名も…?
いやいやいや、美香がたまたま運悪くボタンが見つからなかっただけ…
…絶対どうにかなる!…はず…
残り時間があっという間に30分になった。
全くボタンが見つからない。
やはり救出人が有利だ。このゲームは。
『全く見つからない…ヤバい…』
このままだと、死ぬのは新名だ。
どうしよう…
ここで助かっても、後で死ぬかもしれない。
でも、とにかく今は生きることを祈るしかない。
祈るしかできない私。
無力だなあ…
こういう時に限って、時間は早く過ぎてしまった。
ビーーーーーーーー!
【死亡者】
山内新名(元1年2組)
…だよね。
「由紀…」
新名の顔はどんどん青ざめる。
ドローンが由紀を連れ出す。
すると突然ハッとした。
由紀が全然表情を変えてない。
普段の由紀なら、怖がってそうなのに。
今クラスメイトが目の前で死ぬんだよ?
なのに全然表情を変えてない。
「…どうしたの由紀…なんか様子がおかしいよ?」
新名も異変に気づく。
「おかしいのはあんただよ」
!?
今目の前にいる由紀はまるで別人のように声が低くなっていて、目元に影が落ちていた。
「ど、どういうこと!?」
「あんたのこと、最初から生かす気皆無だから」
「ええ!?」
最初から生かす気なし!?
「あんたのせいで、「あの人」はもういないんだよ!」
あの人?
しかし新名は「あの人」のことを察したらしい。
「ご、ごめん!今謝るから、謝るから取り消して!」
「謝ってもどうにもならない!」
「いやー!あやめ!取り消して!死にたくない!」
『取り消す気皆無でーす!バーイ!山内新名さん?』
そしてプシューとガラス張りの部屋に毒ガスが充満する。
「やだ!やだ!ごめん…な…」
謝罪の言葉もやがて途切れ、毒ガスが引いていく。
「そんな…!」
東野優希(ひがしのゆうき)が梅崎凛(うめざきりん)とともに衝撃を受けている。
「由紀…ちゃん…」
最初から新名を恨んでいたなんて…
やはり「あの事件」と関係が?
由紀に目をやる。
何かを…持っている?
「ノエル!!!!」
美波の声がした。
するとそこには恐ろしい顔をした由紀がいた。
手にはカッターがある。
え…?
「元1の2、全員死ねーーーーーー!」
どうしよう…!
このままではノエルが殺される。
でも何もできない…!
目を閉じる。
グサッ。
「ぎゃあっ」
しかし最初に聞こえたのは由紀の声だった。
え?
恐る恐る目を開ける。
するとそこには逆にノエルに刺された由紀がいた。
「な…」
「私も元からこうする気だったんで。あはは」
そして由紀は倒れ、ノエルは美波のとこへ向かう。
「バカみたいなやつだったわ」
「ノエルナイス〜!」
美波とノエルは本当に人間なの?
人の死を笑って、「ナイス」だなんて。
「美波、ノエル!こんなのおかしいよ!あんたたちは人の死を笑ってるの?」
夕美の声と私の心の声が一致した。
「バカね、別にあんた友達だなんて思ってないから」
「!」
そんな…
夕美がノエルと美波以外の人物と喋っているところは見たことない。
夕美の居場所が完全に亡くなってしまった。
「夕美…」
「いいよ。のぞみには関係ない」
そう作り笑いをして、夕美は校庭を後にした。
一方、愛菜に聞きたいことがある。
「愛菜、夕美や由紀やノエルたちが言ってた『あの事件』ってなんなの?」
しばらく沈黙が続いた。
愛菜?
そしてようやく愛菜は口を開いた。
「知ってるけど、今ののぞみは知らなくていい」
…なるほど…
愛菜がそういうなら、知らなくていいのかな…
死亡者:斉藤梓(元1年2組)、山内新名(元1年2組)、古田由紀(元1年1組)
残り13人
16ー3=13



