英里紗、由亜、翔子、友美。
もう4人も亡くなっている。
4人も亡くなっただけでも辛いのに、これからもっとたくさんの人が死んでいく。
おかしすぎる。
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次の日。
ビーーーーーーーーー!
今日も始まる。
憂鬱だ。
もうそろそろ心が壊れてしまってもおかしくない。

【第3ゲーム】
斉藤梓(さいとうあずさ)
救出人:四葉宇乃(よつばうの)

これはツイてる組み合わせかもしれない。
宇乃と梓は友達だ。
だから宇乃は必死で梓を探してくれるに違いない。
でも美香がダメだったからなあ…
梓がガラス張りの部屋に入る。
『それでは、よーい、スタート!』
いつものように始まってしまった。
…あれ?
宇乃が全く動かない。
どういうこと?
「今黒いボタンを押そうとしたでしょ」
!?
「…っ」
黒いボタンは救出人が死ぬボタン。
それを梓が押そうと!?
でも梓の反応を見ると、本当だったらしい…
「そしてその理由は、私が梓の秘密を知っているから」
秘密?
梓の秘密っていったい…
「じゃあ、選択してね。あんたが黒いボタンを押せば、あんたの秘密は暴露される。押さなかったら、あんたは死ぬが、あんたの秘密は永遠に守ってあげる」
「…!」
究極の選択だ…
自分の秘密を守るか、自分が死ぬか。
そんなの選べるわけがない。
宇乃はボタンを探しにいくつもりはないらしい…
じゃあ、梓はどんな選択を…

ボチッ!
え?
「は?」
宇乃がキョトンとする。

【死亡者】
四葉宇乃(元1年2組)

「な…どうして?あんたが死ねば、秘密は守ってあげられるのよ?なのに…」
「宇乃のこと、友達だなんて思ってないから」
ええ!?
梓は宇乃と友達だって、ずっと思ってた。
でも違うだなんて…
「ふっ。死の恐怖に勝てなかったか。じゃあ、暴露するね。こいつの正体は、2年前人気だったあのシンガーだよ。つまり、佐渡渦あいさ(さどうずあいさ)」
佐渡渦あいさ!?
佐渡渦あいさは、ネットを中心に活動している小学生シンガーだ。
当初は大人気だったけど、2年前にアカウントを削除して、シンガーをやめたはず…
「私はあいさのファンだった。でも、あいさは、本当はレズだとバレて炎上して、シンガーをやめた」
レズって…レズビアンのこと?
「失望した。そして一年後、あいさによく似た声の子をみっけたのよ。それが斉藤梓。最初はまさかと思ったけど、気づいたの。佐渡渦あいさは、斉藤梓のアナグラムだって!」
あは梓のあ、いは斉藤のい、さは斉藤の頭文字…
確かに。
「そしてあいさ…いや、梓に近づき、シンガーをやめた理由を暴露させた。私があいさのファンだったとも知らずに」
『いいねえ!その感じ!そんじゃ!バーイバーイ!四葉宇乃さん?』
ドローンが宇乃を拘束し、宇乃に電流を流した。
「あああああああああああ」
さっきまであんなにほくそ笑んでた宇乃が死んでいくのを見て、恐怖を感じる。
でも、みんなの視線は、梓にいく。
「レズだって!キモい!」
ノエルが罵る。
「バカみたい!」
「レズって同性愛者でしょ?」
「やめようよ!」
「そうだよ」
私と愛菜が必死に反論するが、もう遅かった。
やがてイジメるように梓の周りに一軍女子が集う。
夕美だけが少し離れている。
「やめようよ!!!!」
「そう言ってるアンタたちの方がキモいよ!」
「そうだそうだ」
「ノエル、美波、それでいいの?」
だんだんとノエルたちに批判が集まる。
なんなんだろ。
レズビアンなんて、たまたま好きな人が女性だっただけなのに。
もうこれまでの仲良しなクラスは、崩壊していた。

死亡者:四葉宇乃(元1年2組)
残り16人
17-1=16