ピーンポーンパーンポーン。
また何かあるの?
『みなさーん!覚えててくださーい!このピーンポーンパーンポーンって音がゲーム開始の合図です!』
ゾクッ。
来てしまった。
とうとうゲームが始まっちゃった…
『後ろのモニターを見ててねー!』
全員が言う通りにする。
「うわっ!」
全員の名前が書かれたルーレットが一斉に回る。
さっき殺された、英里紗を除いて。
ここに名前が書かれてないと、本当に死んじゃったんだとじみじみ感じる。
ルーレットが止まった。

【第1ゲーム】
救出人:元宮由亜(元1年2組)
渡辺亜里沙(元1年2組)

クラスの2軍女子が早速選ばれている。
このゲームがどういう感じなのか、このゲームで確かめてみよう…
『ほんじゃ、ガラス張りの大きいボックスがあるでしょ?あそこに渡辺亜里沙さんは入ってね〜!』
何度も思うけど恐ろしい人だ。
こんな恐ろしいことが今目の前で起こるかもしれないのに、ずっと態度が明るい。
むしろ楽しんでいる…?
ガチャン!
「うわっ!」
ガラス張りの部屋に亜里沙が入ると、ロックがかかったような音がした。
「ちょっと!鍵閉められるなんて聞いてない!」
ここから出れないと思うと、余計に恐怖が増す。
『それでは、よーい、スタート!』
モニターにタイマーが表示される。
制限時間は1時間。
それまでに由亜はなんか校内の4つのボタンを押せば、亜里沙は助かる。
てことは、どっちも死なないのもあり…?
だけどこのゲームはトーナメント戦だから最後の1人になるまで終わらない。
でもとりあえずどっちも死なないことを祈る。
「じゃあ、行ってくるね!英里紗!」
由亜が校舎へ向かおうとした瞬間、
「待って」
と亜里沙の声がした。
何…?
「亜里沙、何…?」
「ねえ由亜、『真の友情』ってなんだと思う?」
「え?」
亜里沙、何を…
突然難しい質問を投げられた由亜は固まっている。
私でもわからない…
愛菜と結構付き合ってるのに…
でも答えないわけにもいかない。
「友情は…形のないものだと思う。ある時はこういうのが友情で、ある時はああいうのが友情で…って感じ。正解のないものだと思う」
なるほど…
どこか共感できる部分がある。
「うまく誤魔化せたね」
え?
「え?ご、誤魔化してなんてないよ?私は心のままに言った…」
「じゃあ私も心のままに言うね」
そう言って口を開く亜里沙。
「友情ってね、答えは一つなんだよ。その答えは、命を失ってでも相手を思うことができるかなんだよ」
「へ?」
そう言って、亜里沙は部屋の中の黒いボタンを押した。
「それって…」
由亜も察した。
あの黒いボタンを押したら、死ぬのは…

【死亡者】
救出人:元宮由亜(元1年2組)

「由亜、あなたのこと、試してみるね。あなたが本当の友情を理解できるか」
「こ、こんなの…」
「違うって言いたい?でもさっきあなた、友情に正解なんてないって言ったよね?だったらこれも友情でしょ」
「っ…」
言葉を詰まらせる由亜。
すると上からブーンとドローンが飛んできて、由亜の体を拘束する。
「いや!何これ!離して!」
「死んでも私のこと、思い続けてよ?」
『それでは、バイバーイ!元宮由亜さん?』
急な放送とともに、ビリビリビリビリと由亜に電流が流れた。
「ぎゃああああああああ」
聞きたくない叫び声とともに、由亜は死んでいった。
何これ…
こんなのひどすぎる…
やがてロックが解けたガラス張りの部屋から亜里沙が出てくる。
反対に由亜は拘束が解けても、動かずにバタンと倒れた。
「由亜!」
由亜と同じ2軍女子の鈴瀬美香(すずせみか)が由亜に駆け寄る。
「強い電流で気を失っているだけ…でしょ?」
そしてミステリードラマでよくみるように美香は脈を測る。
「脈…ない…生きてない…」
途端に「いやあああああ」と叫び声が聞こえる。
「なんでこんなことするの!ひどすぎるわ!」
水木かなた(みずき-)だ。
そうだ。こんなのひどすぎる…
そして何事もなかったように亜里沙は去っていく。
こんな恐ろしいことが目の前で起きたのに平然としてるなんて…
「怖いよ、亜里沙」
続きを美香がいった。
「なんでこんなこと…」
「だって、本当の友情を知らない人と友達になっても、ただの馴れ合いでしょ」
「そんな…」
早速クラスの2軍が崩壊してしまった。
「怖い…」
今はそんな言葉しか出なかった。

死亡者:元宮由亜(元1年2組)
残り19名
20ー1=19