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「チェス勝負……って、大丈夫なのか?」
翌日、じーちゃんのところへ行ったあとも散々だった、と慧に話した。
あの後、落ち着くために寮ではなく実家の方へと行き、そのまま一泊して来た。
そして昼頃に寮へと戻ってきて慧を部屋へ呼んだというわけだ。
昨日──
お坊ちゃんとチェス勝負の約束をして後、送ってもらうまでの間、私もかなやいも言葉は交わさず、佐藤も何も聞いてこなかった。
家に着いて、先に二人を行かせ心配そうな佐藤と向き合えば、より眉をさげる佐藤。
『……お嬢様。大丈夫ですか』
『ええ、ノープロブレムよ』
とびきり笑顔で答えれば、佐藤は驚き目を丸くする。おそらく、さすがの私もじーちゃんのところに行ってなんだかんだ言われて落ち込んでいるものだと思ってたんだろう。
だけどその心配は本当に大丈夫。
『私も……奏矢と矢絃も大丈夫。事が片付いたら、佐藤に報告しに来るから待っててね』
『承知致しました。楽しみにお待ちしております』
車を置いてくると佐藤と別れた後、自室の前にはかなやいが居て。
『オジョー、ごめん。さっき一人称オレって無意識で口から出ちゃった』
『矢絃……お前全然、ごめんって顔してねぇよ』
『とりあえずごめんしとこうと思って』
ノックもなしにじーちゃんの部屋に入った挙げ句、執事から勝負を提案をしたのに……全く反省のいろはなしで。



