すぐに言葉の意味が飲み込めず、オリヴィアは小さく口を開いたまま呆けた声を出した。
「あ……あの、ノースウッド、伯爵?」
エドモンドは軽く頭を振って続ける。
「あなたはぼぅっとしているだけで、動いていない。さっきから精々、数本取っただけだろう」
「それは……」
オリヴィアは焦ってもじもじと手を動かした。
何か答えなくてはと思うのに、思考がおぼつかなくて答えがスムーズに出てこない。エドモンドが自分を責めている──そう思えて、オリヴィアの心臓はバクバクと高鳴りはじめた。
「それは……もちろん、ノースウッド伯爵ほど手際はよくありませんけど……」
オリヴィアは手にしていたハサミをきゅっと握り締めた。
「きちんとやっています。初めてだから、少し時間が掛かるだけで」
「マダム、私はそんなことを言っているのではない」
──『そんなことを言っているのではない』?
オリヴィアは息を呑んだ。
では、この人は一体、何をオリヴィアに期待していると言うのだろう。彼と同じ速さでハーブを摘めというのだろうか。
それとも、野豚のように土に鼻を突っ込んで幻のトリュフでも探し出せとでもいうのだろうか?
オリヴィアは頑張っている。
少しくらい具合が悪くても、エドモンドに喜んで欲しくてここまで来たのだ。
それを、ちょっと仕事が遅いからといってこんな風に責められるのは心外だし、だいたい理不尽にも程がある。
オリヴィアが野良仕事の達人ではないことくらい、彼は結婚前から承知のはずだ!
なぜか無性に悔しくなったオリヴィアは、興奮と疲れとでくらくらとする身体を叱咤して、ハサミを掴んだまま真っ直ぐに立ち上がると声を上げた。
「ノースウッド伯爵……もう、沢山です! 私は、あなたの知性を、う、疑います!」
「あ……あの、ノースウッド、伯爵?」
エドモンドは軽く頭を振って続ける。
「あなたはぼぅっとしているだけで、動いていない。さっきから精々、数本取っただけだろう」
「それは……」
オリヴィアは焦ってもじもじと手を動かした。
何か答えなくてはと思うのに、思考がおぼつかなくて答えがスムーズに出てこない。エドモンドが自分を責めている──そう思えて、オリヴィアの心臓はバクバクと高鳴りはじめた。
「それは……もちろん、ノースウッド伯爵ほど手際はよくありませんけど……」
オリヴィアは手にしていたハサミをきゅっと握り締めた。
「きちんとやっています。初めてだから、少し時間が掛かるだけで」
「マダム、私はそんなことを言っているのではない」
──『そんなことを言っているのではない』?
オリヴィアは息を呑んだ。
では、この人は一体、何をオリヴィアに期待していると言うのだろう。彼と同じ速さでハーブを摘めというのだろうか。
それとも、野豚のように土に鼻を突っ込んで幻のトリュフでも探し出せとでもいうのだろうか?
オリヴィアは頑張っている。
少しくらい具合が悪くても、エドモンドに喜んで欲しくてここまで来たのだ。
それを、ちょっと仕事が遅いからといってこんな風に責められるのは心外だし、だいたい理不尽にも程がある。
オリヴィアが野良仕事の達人ではないことくらい、彼は結婚前から承知のはずだ!
なぜか無性に悔しくなったオリヴィアは、興奮と疲れとでくらくらとする身体を叱咤して、ハサミを掴んだまま真っ直ぐに立ち上がると声を上げた。
「ノースウッド伯爵……もう、沢山です! 私は、あなたの知性を、う、疑います!」


