*
エドモンドは今朝の自分の判断について、間違っていたかもしれないと結論を出さずにはいられなかった。
──オリヴィアは馬に乗ることができた。
それだけでも十分驚きだが、きちんと鞍まで付けられると言う。
「私は都会育ちですけど……」
オリヴィアは言った。「乗馬だけはきちんと習いました。決まったコースしか駆けたことはありませんが、障害物飛びもしたことがあるんですよ」
約束通り、昼前に屋敷を出たエドモンドとオリヴィアは、半時間もしないうちに森の辺縁に辿り着いていた。
エドモンドは黒鹿毛の大きな雄馬にまたがり、オリヴィアは繊細な栗毛の牝馬に乗って、ゆったりとした常足で草原を駆ける。
いくら乗れるといっても、オリヴィアの乗馬ペースはエドモンドのそれよりずっと遅かったが、それでも女性としては上出来なほうだ。
当然、エドモンドはオリヴィアのペースに合わせて駆けた。
朝露が乾き、芳しい緑の香りに包まれた森へ、二人はゆっくりと入っていく。
平原に広がるこの高い杉の森は、妖精がさまよっていそうな神秘的で爽やかな森とは程遠く、どちらかといえば恐ろしい人食いゴーレムが奥でうごめいていそうな薄暗い雰囲気ではあったが……エドモンドにとっては幼い頃から親しんできた落ち着ける場所だ。
エドモンドが馬の歩みを緩めて後ろを振り返ると、オリヴィアはきょろきょろと忙しく周囲に見入っていた。
「マダム、きちんと前を見て乗りなさい」
「えっ、あ、は、はい」
エドモンドは今朝の自分の判断について、間違っていたかもしれないと結論を出さずにはいられなかった。
──オリヴィアは馬に乗ることができた。
それだけでも十分驚きだが、きちんと鞍まで付けられると言う。
「私は都会育ちですけど……」
オリヴィアは言った。「乗馬だけはきちんと習いました。決まったコースしか駆けたことはありませんが、障害物飛びもしたことがあるんですよ」
約束通り、昼前に屋敷を出たエドモンドとオリヴィアは、半時間もしないうちに森の辺縁に辿り着いていた。
エドモンドは黒鹿毛の大きな雄馬にまたがり、オリヴィアは繊細な栗毛の牝馬に乗って、ゆったりとした常足で草原を駆ける。
いくら乗れるといっても、オリヴィアの乗馬ペースはエドモンドのそれよりずっと遅かったが、それでも女性としては上出来なほうだ。
当然、エドモンドはオリヴィアのペースに合わせて駆けた。
朝露が乾き、芳しい緑の香りに包まれた森へ、二人はゆっくりと入っていく。
平原に広がるこの高い杉の森は、妖精がさまよっていそうな神秘的で爽やかな森とは程遠く、どちらかといえば恐ろしい人食いゴーレムが奥でうごめいていそうな薄暗い雰囲気ではあったが……エドモンドにとっては幼い頃から親しんできた落ち着ける場所だ。
エドモンドが馬の歩みを緩めて後ろを振り返ると、オリヴィアはきょろきょろと忙しく周囲に見入っていた。
「マダム、きちんと前を見て乗りなさい」
「えっ、あ、は、はい」


