しかし今朝、オリヴィアはいつもと違いパンに手を伸ばさなかった。
ただ、陶器製のピッチャーに入った水で杯を満たして、それをちびちびと飲むだけだ。心なしか杯を持つ細い指が震えている──。
エドモンドは異変に気付き、口を開こうとした。
しかし、その時、オリヴィアが先に話しはじめていた。
「じつは今日……牧草地の先にある森へ行ってみようと思うんです。料理に使えるハーブが沢山あるのだと、マギーが言っていました。彼女も行きたいのだけど、腰の具合が悪くて馬に乗れないのですって。だから私が行ってみようと思って」
「本当かい? 森のハーブをのせて焼いた鶏肉は兄さんの好物だよ」
「ええ、マギーも言っていました。それで……」
オリヴィアの瞳が無邪気に輝いた。
エドモンドの胸は湧き上がる何かで爆発しそうなほど高鳴っていた。
森? ハーブ? 馬? そんなものにオリヴィアが近づいて無事でいられるとは思えない。
「駄目だ!」
気が付くと、エドモンドは声を荒げ、きつく握られた拳で食卓を強く叩いていた。
ローナンとオリヴィアが驚いてエドモンドを見つめる。
特にローナンは、いぶかしげに眉を寄せて食事の手を休めた。
「どうしてさ? 兄さん」
「どうしてもだ。マダム、貴女はまだ土地に不案内だ。下手に森などに入っては何が起こるか分からない」
「それは……でも……私」
オリヴィアは困惑に声を震わせた。
そこに、
「僕が一緒に行くよ。そうすれば安心だろう」
と、ローナンが割って入った。
ただ、陶器製のピッチャーに入った水で杯を満たして、それをちびちびと飲むだけだ。心なしか杯を持つ細い指が震えている──。
エドモンドは異変に気付き、口を開こうとした。
しかし、その時、オリヴィアが先に話しはじめていた。
「じつは今日……牧草地の先にある森へ行ってみようと思うんです。料理に使えるハーブが沢山あるのだと、マギーが言っていました。彼女も行きたいのだけど、腰の具合が悪くて馬に乗れないのですって。だから私が行ってみようと思って」
「本当かい? 森のハーブをのせて焼いた鶏肉は兄さんの好物だよ」
「ええ、マギーも言っていました。それで……」
オリヴィアの瞳が無邪気に輝いた。
エドモンドの胸は湧き上がる何かで爆発しそうなほど高鳴っていた。
森? ハーブ? 馬? そんなものにオリヴィアが近づいて無事でいられるとは思えない。
「駄目だ!」
気が付くと、エドモンドは声を荒げ、きつく握られた拳で食卓を強く叩いていた。
ローナンとオリヴィアが驚いてエドモンドを見つめる。
特にローナンは、いぶかしげに眉を寄せて食事の手を休めた。
「どうしてさ? 兄さん」
「どうしてもだ。マダム、貴女はまだ土地に不案内だ。下手に森などに入っては何が起こるか分からない」
「それは……でも……私」
オリヴィアは困惑に声を震わせた。
そこに、
「僕が一緒に行くよ。そうすれば安心だろう」
と、ローナンが割って入った。


