なんとか一人で着替えをすませたオリヴィアが食堂へ降りると、エドモンドとローナンが朝食をとっているところだった。
兄弟は同時にオリヴィアに顔を向ける。
並んで似たような表情をされると、一瞬、どちらがどちらか分からないほど似ている二人だ。しかし、数秒後に兄は無表情、弟は笑顔になるので、すぐに区別がつく。
「おはようございます、ノースウッド伯爵」
「おはよう、マダム」
エドモンドは単調に答えた。
「ローナンも、おはようございます。ご機嫌はいかが?」
「すこぶるいいよ。朝からこんな美女の顔が拝めるなんて、結婚とは素晴らしいものだね」
ローナンは歌でも歌いだしそうな調子で答えた。そして、隣の席をすすめる。
オリヴィアはちょっと躊躇したあと、すすめられたとおりにローナンの隣に座った。
エドモンドは、そんなオリヴィアの一挙一動を観察するように見つめている。
エドモンドの服は、胸の開いた麻色のシャツに茶色のズボンをおなじみの黒のブレイシーズで吊っているという、簡素なものだった。
しかしそれが彼の男性的な魅力を強調していることは、反論しがたい。ありていに言って、エドモンドはとても魅力的だった。
まぁ、刺すような厳しい目つきを除けば。
「ところで」
ローナンがまず口を開いた。
テーブルの上には、切り出された田舎風パン、ゆで卵、「なにか」のジャムに、数種類のフルーツが乗ったバスケットと、質素ではあるが普通の食事が並んでいる。
オリヴィアはとりあえずパンに手を出した。
「義姉上、今朝から仕事をすることにしたんだって? これは面白い物が見られそうだな」
「あ、ええ、それは……まあ……」
オリヴィアは曖昧に答えて、斜め前に座るエドモンドをちらりと見やった。
視線が合った瞬間、エドモンドはオリヴィアから顔を背けた。
見てはいけないものを見てしまった時に人がする反応──その、あまりにも分かりやすいエドモンドの態度に、オリヴィアの胸はちくりと痛んだ。
ローナンもそれに気付いたようで、困ったなというように肩をすくめて見せる。
しかし、オリヴィアは決めたのだ。
強くなろうと。
エドモンドの妻として出来るだけ頑張ってみようと。
兄弟は同時にオリヴィアに顔を向ける。
並んで似たような表情をされると、一瞬、どちらがどちらか分からないほど似ている二人だ。しかし、数秒後に兄は無表情、弟は笑顔になるので、すぐに区別がつく。
「おはようございます、ノースウッド伯爵」
「おはよう、マダム」
エドモンドは単調に答えた。
「ローナンも、おはようございます。ご機嫌はいかが?」
「すこぶるいいよ。朝からこんな美女の顔が拝めるなんて、結婚とは素晴らしいものだね」
ローナンは歌でも歌いだしそうな調子で答えた。そして、隣の席をすすめる。
オリヴィアはちょっと躊躇したあと、すすめられたとおりにローナンの隣に座った。
エドモンドは、そんなオリヴィアの一挙一動を観察するように見つめている。
エドモンドの服は、胸の開いた麻色のシャツに茶色のズボンをおなじみの黒のブレイシーズで吊っているという、簡素なものだった。
しかしそれが彼の男性的な魅力を強調していることは、反論しがたい。ありていに言って、エドモンドはとても魅力的だった。
まぁ、刺すような厳しい目つきを除けば。
「ところで」
ローナンがまず口を開いた。
テーブルの上には、切り出された田舎風パン、ゆで卵、「なにか」のジャムに、数種類のフルーツが乗ったバスケットと、質素ではあるが普通の食事が並んでいる。
オリヴィアはとりあえずパンに手を出した。
「義姉上、今朝から仕事をすることにしたんだって? これは面白い物が見られそうだな」
「あ、ええ、それは……まあ……」
オリヴィアは曖昧に答えて、斜め前に座るエドモンドをちらりと見やった。
視線が合った瞬間、エドモンドはオリヴィアから顔を背けた。
見てはいけないものを見てしまった時に人がする反応──その、あまりにも分かりやすいエドモンドの態度に、オリヴィアの胸はちくりと痛んだ。
ローナンもそれに気付いたようで、困ったなというように肩をすくめて見せる。
しかし、オリヴィアは決めたのだ。
強くなろうと。
エドモンドの妻として出来るだけ頑張ってみようと。


