エドモンドは緑色の目を見開き、穴が開きそうになるほどオリヴィアを見つめた。
オリヴィアの胸は高鳴った。無視できないほどに。
今度はオリヴィアが黙っていると、エドモンドが口を開く番となった。だんだんお馴染みになってきた低く落ち着きのある声で、ゆっくりと紡がれる言葉は……
「私が知りたいのは……あなたを愛した男が、私の前にいたかどうかだ」
風が吹いて、オリヴィアのスカートの裾を軽やかに揺らした。
鮮やかな緑の牧草が、果てなく広がっていた。
ノースウッドは厳しくも広大で美しい自然を誇っている。まるで、この地の領主と同じように。
エドモンドも、ちょうどそんな風に美しい男だ。
「いいえ」 オリヴィアは答えた。「一度も」
それからエドモンドは、しばらく何も言わずにオリヴィアを見つめ続けていた。
上から、下へ。
まるで何かを確認したくて仕方がないように動かされる視線は、どこか切なさに満ちていて、オリヴィアは身体を動かすことが出来なかった。
──火が、ついた。彼が火をつけたんだ。
オリヴィアは目の前に堂々と立っている背の高い夫に対し、心の奥で、なにか新しい感情が芽生えたのを感じた。
この人を知りたい。
この人に触れたい。
この人と一緒にいたい……。
「ひと月、くれませんか。ひと月だけでいいんです」
オリヴィアの口は、いつのまにか懇願をしていた。
無意識に出てしまった言葉だったが、後悔や焦りはまったくない。とても自然な願いだった。
「あなたに相応しい妻になれるように頑張ります。ひと月が過ぎてまだ私を追い出したかったら、そうしてくださってかまわないから……一度だけ、私に機会をください」
オリヴィアの胸は高鳴った。無視できないほどに。
今度はオリヴィアが黙っていると、エドモンドが口を開く番となった。だんだんお馴染みになってきた低く落ち着きのある声で、ゆっくりと紡がれる言葉は……
「私が知りたいのは……あなたを愛した男が、私の前にいたかどうかだ」
風が吹いて、オリヴィアのスカートの裾を軽やかに揺らした。
鮮やかな緑の牧草が、果てなく広がっていた。
ノースウッドは厳しくも広大で美しい自然を誇っている。まるで、この地の領主と同じように。
エドモンドも、ちょうどそんな風に美しい男だ。
「いいえ」 オリヴィアは答えた。「一度も」
それからエドモンドは、しばらく何も言わずにオリヴィアを見つめ続けていた。
上から、下へ。
まるで何かを確認したくて仕方がないように動かされる視線は、どこか切なさに満ちていて、オリヴィアは身体を動かすことが出来なかった。
──火が、ついた。彼が火をつけたんだ。
オリヴィアは目の前に堂々と立っている背の高い夫に対し、心の奥で、なにか新しい感情が芽生えたのを感じた。
この人を知りたい。
この人に触れたい。
この人と一緒にいたい……。
「ひと月、くれませんか。ひと月だけでいいんです」
オリヴィアの口は、いつのまにか懇願をしていた。
無意識に出てしまった言葉だったが、後悔や焦りはまったくない。とても自然な願いだった。
「あなたに相応しい妻になれるように頑張ります。ひと月が過ぎてまだ私を追い出したかったら、そうしてくださってかまわないから……一度だけ、私に機会をください」


