*
連れて行かれたのは、屋敷を裏から出た小道だった。
どうも、この小道はそのまま厩舎へ続くらしい。
白い砂が敷かれていて、周囲には牧草が広がっている。長く緩いS字を描きながら、小道はゆるやかに伸びていた。
オリヴィアにははじめて通る道でも、エドモンドには慣れた道だろう。きっと、暗闇の中で目をつぶっていても踏み外さないに違いない。
少しうつむき加減で前を歩くエドモンドから少し離れて、オリヴィアは彼のあとを追っていた。
きっと、屋敷の窓から、使用人たちが興味津々に二人の姿を覗き見しているに違いない。
オリヴィアは黙っていた。
そして、特別目新しいことではないが、エドモンドもまた黙っていた。
嗚呼──この人は、どういう人なんだろう。
目の前を歩く男性は、少なくとも法的にはまだオリヴィアの夫だ。例えそれが、本来の夫婦関係のまだない「白い結婚」だったとしても。
(私、本当に何も知らないんだわ……)
ただの田舎の伯爵ではない。エドモンドには、きっと知られざる秘密がいくつもあるのだ。それもなにか悲しい秘密が。
知らなければ、一つずつ教えてもらえばいいと思っていた……。
しかし、どうもそんな単純なことではないらしい。
夫は寡黙だし、思ったよりもずっと根が深い問題がある。
連れて行かれたのは、屋敷を裏から出た小道だった。
どうも、この小道はそのまま厩舎へ続くらしい。
白い砂が敷かれていて、周囲には牧草が広がっている。長く緩いS字を描きながら、小道はゆるやかに伸びていた。
オリヴィアにははじめて通る道でも、エドモンドには慣れた道だろう。きっと、暗闇の中で目をつぶっていても踏み外さないに違いない。
少しうつむき加減で前を歩くエドモンドから少し離れて、オリヴィアは彼のあとを追っていた。
きっと、屋敷の窓から、使用人たちが興味津々に二人の姿を覗き見しているに違いない。
オリヴィアは黙っていた。
そして、特別目新しいことではないが、エドモンドもまた黙っていた。
嗚呼──この人は、どういう人なんだろう。
目の前を歩く男性は、少なくとも法的にはまだオリヴィアの夫だ。例えそれが、本来の夫婦関係のまだない「白い結婚」だったとしても。
(私、本当に何も知らないんだわ……)
ただの田舎の伯爵ではない。エドモンドには、きっと知られざる秘密がいくつもあるのだ。それもなにか悲しい秘密が。
知らなければ、一つずつ教えてもらえばいいと思っていた……。
しかし、どうもそんな単純なことではないらしい。
夫は寡黙だし、思ったよりもずっと根が深い問題がある。


