こういう顔をする男を、オリヴィアはよく知っている。父のジギー・リッチモンドだ。
父はひどい癇癪持ちで、暴力を振るったことこそ一度もなかったが、怒らせるとちょうど今のエドモンドのような顔をして、その後でものすごい説教の洪水を降らせるのだった。
こういうとき、反論や言い訳をしても無駄であることは、間違いない。
彼らのような男は、言いたいことをすべて言い切るまで止められないのだ。火山のようなもので。
「兄さん、何か誤解してるんじゃないかな」
いてて、と少し情けない声を出しながら、ローナンが割って入った。
「僕らは一緒に、彼女の朝食の用意をしようとしただけだよ。今朝はじめて顔を見せ合ったんだから、挨拶もかねてさ」
エドモンドは答えなかった。
立ち上がろうとするローナンに手を貸そうともしないところを見ると、出来るならもう数発殴ってやりたいと思っているようだ。その証拠に、エドモンドの拳は固く握られたままだった。
ローナンは長くて逞しい手足を器用に折り曲げたり伸ばしたりしながら、ゆっくりと立ち上がった。
兄弟が対峙すると、兄であるエドモンドの方がほんの少し背が高いようだった。ローナンの方が少し色白で、線も細い印象がある。
あくまで、エドモンドの隣に立つと、だが。
対するエドモンドは、口を一文字に結び、何を言うか決めかねている様子だった。
父はひどい癇癪持ちで、暴力を振るったことこそ一度もなかったが、怒らせるとちょうど今のエドモンドのような顔をして、その後でものすごい説教の洪水を降らせるのだった。
こういうとき、反論や言い訳をしても無駄であることは、間違いない。
彼らのような男は、言いたいことをすべて言い切るまで止められないのだ。火山のようなもので。
「兄さん、何か誤解してるんじゃないかな」
いてて、と少し情けない声を出しながら、ローナンが割って入った。
「僕らは一緒に、彼女の朝食の用意をしようとしただけだよ。今朝はじめて顔を見せ合ったんだから、挨拶もかねてさ」
エドモンドは答えなかった。
立ち上がろうとするローナンに手を貸そうともしないところを見ると、出来るならもう数発殴ってやりたいと思っているようだ。その証拠に、エドモンドの拳は固く握られたままだった。
ローナンは長くて逞しい手足を器用に折り曲げたり伸ばしたりしながら、ゆっくりと立ち上がった。
兄弟が対峙すると、兄であるエドモンドの方がほんの少し背が高いようだった。ローナンの方が少し色白で、線も細い印象がある。
あくまで、エドモンドの隣に立つと、だが。
対するエドモンドは、口を一文字に結び、何を言うか決めかねている様子だった。


