その口調に、オリヴィアを責めるような響きはない。
今日の彼は機嫌がいいようだ。ただ、親鳥がヒナを可愛がるような、少し過ぎた保護欲と、彼らしい男性的な愛情表現とが混じっている。
オリヴィアは夫を見つめながら、次の言葉を待った。
「──どうしても仕事がしたいというなら、わたしと一緒に来なさい。荷物はわたしが持つから、そのエプロンを貸してくれ」
安堵して、オリヴィアはほっとため息をついた。
素直にエプロンを外し、それをエドモンドに渡す。彼は器用にエプロンを袋状にまとめ、地面に落ちた野菜を全て拾い上げて中に入れた。
エドモンドが無言で、おいでと言うように首を傾げたので、オリヴィアは彼の隣にぴたりとついて歩きはじめた。
厩舎には、オリヴィアがノースウッドに来た当初よりも、少し多くの馬がいる。
一頭はエドモンドとローナンが新しく買い付けたもの。
そしてもう一頭は……
「見て、レディはもう歩いているんですね! 本当に綺麗な子だわ!」
木の柵に両手を置いて、オリヴィアは興奮気味に声を上げた。柵の中には、まだ生まれて数日の子馬がいる。
全身は薄い茶色で、額のあたりと足下だけが白い、小さなメス馬だった。
華奢で、見るからに優雅なフォルムをしていたので、彼女を取り上げたローナンが「レディ」と名付けたのだ。オリヴィアはもうすっかり彼女に夢中だった。
「もう少し後ろにさがっていなさい、マイ・レディ」
と、柵の中でレイディとその母親に餌を与えているエドモンドが言った。「子馬とはいえ、すでに脚には相当な力がある。それに母親はまだ気が立っているようだ。あなたを蹴飛ばすくらい、息をするより簡単だろう」
レディと、その優しそうな母馬の様子からは想像できないが、エドモンドは彼らがオリヴィアを傷つけるのではないかと過剰な心配をしていた。
こうしてレディが生まれてから何度も厩舎へ足を運ぼうとするオリヴィアを、なんだかんだと理由をつけて牽制しているのだ。今のエドモンドは、レディの隣にぴったりとついて佇んでいる母馬よりも、ずっと過保護に思えたが。
もちろん彼には、そうなる理由があるのだけれど。


