スープは珍味だった。
もっと正確にいえば、それは不味かったのだ。加えてレバー独特のすえたようなにおい。オリヴィアは一口目を頑張って飲み込んでみた。
こめかみの辺りに衝撃を覚えて、小さな星がチカチカと視界を舞う幻覚を見たが、今思えばそれらはただの前兆にすぎなかったらしい。なかば勝手に手が動いて、二口目を口に運んでみる。
そして、スプーンの半分ほどを飲み込んだところだった。
オリヴィアはそのままスープの入ったボウルに吐いてしまった──が、スープは汚物と混じってもあまり違和感のない色みのままだった。
マギーが「あらまあ!」と素っ頓狂な声を上げて、オリヴィアに布を渡したと思うと、キッチンから飛んで出て行く。
一人残されたオリヴィアは、吐いてしまったあとの疲れで、はあはあと肩で息をしながら呆然と佇んでいた。
そんな時。
くすくす……と背後で軽快な笑い声が聞こえたので、オリヴィアは慌てて振り返った。
すると、キッチンの入り口の扉枠に肩を片方寄りかからせた青年が、オリヴィアの方を見ていた。
びっくりして布を握り締めたまま椅子から飛びのいて立ち上がる。急いで口元を拭いたが、自分が他人の前に立てるだけの風采を整えているとは思えない。
オリヴィアは挨拶に軽く頭を下げた。
「ごめん、笑うつもりじゃなかったんだ。顔を上げて」
滑らかで爽やかな声が響いた。
顔を上げたオリヴィアと、青年の視線が合う。オリヴィアはびっくりして背筋を伸ばした。青年はエドモンドによく似ていたのだ。
もっと正確にいえば、それは不味かったのだ。加えてレバー独特のすえたようなにおい。オリヴィアは一口目を頑張って飲み込んでみた。
こめかみの辺りに衝撃を覚えて、小さな星がチカチカと視界を舞う幻覚を見たが、今思えばそれらはただの前兆にすぎなかったらしい。なかば勝手に手が動いて、二口目を口に運んでみる。
そして、スプーンの半分ほどを飲み込んだところだった。
オリヴィアはそのままスープの入ったボウルに吐いてしまった──が、スープは汚物と混じってもあまり違和感のない色みのままだった。
マギーが「あらまあ!」と素っ頓狂な声を上げて、オリヴィアに布を渡したと思うと、キッチンから飛んで出て行く。
一人残されたオリヴィアは、吐いてしまったあとの疲れで、はあはあと肩で息をしながら呆然と佇んでいた。
そんな時。
くすくす……と背後で軽快な笑い声が聞こえたので、オリヴィアは慌てて振り返った。
すると、キッチンの入り口の扉枠に肩を片方寄りかからせた青年が、オリヴィアの方を見ていた。
びっくりして布を握り締めたまま椅子から飛びのいて立ち上がる。急いで口元を拭いたが、自分が他人の前に立てるだけの風采を整えているとは思えない。
オリヴィアは挨拶に軽く頭を下げた。
「ごめん、笑うつもりじゃなかったんだ。顔を上げて」
滑らかで爽やかな声が響いた。
顔を上げたオリヴィアと、青年の視線が合う。オリヴィアはびっくりして背筋を伸ばした。青年はエドモンドによく似ていたのだ。


