しばらくの沈黙のあと、エドモンドはやっと少しだけ表情をやわらげて、またオリヴィアの耳元に何事かを呟いたと思うと、「では」と言って彼女の横にかがみこんだ。
そして、オリヴィアが疑問に思うより先に、豪華なピンクのドレスごと彼女の身体を抱き上げていた。
「ノ、ノ、ノースウッド伯爵……、人がっ、人が来ますっ」
「今夜、わたしはすでに十分スキャンダルを振りまいたよ。カドリールの後に妻に口づけ、舞踏室で乱闘騒ぎを起こし、二人の男に火をつけた。あと一つや二つ増えたところで、なにも変わらないさ」
あっという間に童話の姫のように横抱きにされたオリヴィアは、恥ずかしさと喜びで見る見るうちに顔を紅潮させた。
たくましいエドモンドの腕が、オリヴィアの全身を抱えている。
それだけでももちろん嬉しい驚きだが、ああ……今の、オリヴィアを見つめるエドモンドの優しい表情ときたら!
それだけでもオリヴィアは失神してしまいそうな気分だった。
その深い緑の瞳に見つめられると、オリヴィアは彼にとって最も愛しく、世界一大切な宝物なのだという幻想を抱かずにはいられなくなった……。
ああ、本当に。
もしかしたら、本当に……?


