最初、オリヴィアは、これは夢なのだと思った。
軽い脳震盪からゆっくり目を開くと、目の前には二人の男の影があって、自分は柔らかいベッドの上に乱暴に寝かされていたのだ。
部屋は明るいとはいえず、数本のロウソクが窓辺の燭台の上で橙色の炎を踊らせているだけだった。
はっきりと目を覚ますと、二人の男の輪郭がはっきりしてくる。
ヒューバートと、あの酔っぱらった若太りの男……。
二人の男は、獲物を品定めする狩猟者よろしく、ベッドの端に立ってオリヴィアの肢体になめ回すような視線を走らせていた。
オリヴィアは悲鳴を上げ、立ち上がろうとした。
しかし、酔っぱらった男の方が素早くオリヴィアの口をふさいで声をさえぎったうえに、動物のように四つん這いになってオリヴィアの上に覆いかぶさってきた。
「しーっ、かわいいお嬢さん、静かにしていれば今にいい思いをさせてあげよう。なあに、すぐにすむさ。君の夫には黙っていてあげよう。なあ、ヒューバート」
酒気を帯びた臭い息が、オリヴィアの耳元にかかる。
それは、あまりにも醜悪で、思わず身震いしてしまうほど気持ちの悪い感覚だった。
オリヴィアはもがいて、どうにかこの大男をひっかいてやろうと手をばたつかせたが、それは空しく宙をかくだけだった。
その間にも、男はゆっくりとオリヴィアの首筋に顔を近づけてきて、クンクンと犬のように匂いを味わっていた。
「この柔らかい肌に、甘い香り……ああ、君は美味だろうな。さあ、逆らわないで……」
幸いにも、ベッドの上のオリヴィアはまだきちんとドレスを着たままだったが、マーガレットの大胆なデザインはあまり上手く身体を隠してはいなかった。
豊かな胸は押し上げられ、オリヴィアの荒い息とともに上下している。
細い腰のラインはあらわで、オリヴィアが動くとさらに女性らしさを強調していた。
そう。
オリヴィアがもがけばもがくほど、男は息を荒げ、執拗に絡みついてきた。
すぐそばのヒューバートは、オリヴィアを救うべきか、それとも男に加担するべきか決めかねているように、ベッドの斜め後ろに立ったままでいた。
しかし、横たわるオリヴィアの姿を目で楽しんでいるのだけは、確かだった。
彼はひと時もオリヴィアから目を離さなかったから。


