ガブリエラにとって、こんな扱いを受けるのは許しがたいことだった。
一体あの小娘は、エドモンドに何をしたというのだろう?
あの、冷静沈着で、どんな時も取り乱すことなどなかったノースウッド伯爵エドモンド・バレット卿を、野獣のような男に変えたのだ。
持参金のせい? いや、違う。
あの、ドレスからこぼれ落ちそうな大きな胸? いや、それだけなら、ガブリエラにだってあるのだ。多少は寸法が違うかもしれないが。
結論は、ガブリエラにとって最も受け入れがたいものだった。
しかしそれは、今、エドモンドが大広間の食卓の上に立って大声で舞踏会の招待客全員に宣言するのと同じくらい、明らかにガブリエラの目の前にあった。
なんということ……
なんということなの……
ガブリエラは、悔しさに歯を食いしばりながら、低い声でささやいた。
「彼女を愛していらっしゃるのね」
一瞬の間を置き、しかし、相手の答えを待たずに、ガブリエラは続けた。「あなたは、あの小娘を愛していらっしゃるんだわ。まるで悪霊に取り憑かれた雄牛みたいに息を荒くして、逃げ惑うつがいのメスに襲いかかろうとする汚らしい野獣のように。あの、まだ子供のような顔をした、乳臭い小娘を!」
「あなたの愛についての定義を聞いている気分ではない」
エドモンドの声は、明らかに苛立っていた。
恐怖にかられたガブリエラが壁を背にしたまま一歩引き下がろうとすると、エドモンドの逞しい腕が疾風のような速さで伸びてきて、ガブリエラの首を掴み、ひねり上げた。
「う……っ!」
「わたしの辛抱強さを試そうとはしないことだ。特に妻に関する限り、わたしの忍耐力はそれこそ気の狂った雄牛ほどもありはしない」
「は……はな、し……」
「愛? そうだ。取り憑かれた? そうだ! わたしはオリヴィアを魂の底から欲し、悪霊のなれはてのようにこの屋敷を駆けずり回っている。彼女をこの腕に抱くことだけが、わたしの願いだ。邪魔をしようものなら、あなたも、あなたの兄も、明日の太陽を拝むことは出来ないと思え!」


