いつの間にか、エドモンドは白く塗られた大きな枠つきのガラス窓を抜けて、テラスに飛び出していた。
テラスは中庭に面しており、石造りの柵に囲まれてかなりの広さがあったが、雨のせいで無人だった。
当初のにわか雨から、大粒で重い雨に変わっていた夜の空は、すぐに容赦なくエドモンドを濡らす。
しかしエドモンドは、さらに雨の中を進んでテラスの中央に出た。
そして振り返り、外から屋敷を見上げる。
ファレル家の屋敷は、室内のシャンデリアの光で、雨と霧の中に浮かんだ楼閣のようにぼんやりと輝いていた。
遠くから室内音楽が聞こえるが、雨音がそれを邪魔している。
エドモンドが目を凝らすと、屋敷の明かりは一階に集中していたが、二階、三階にもちらちらと明かりがあるのが見える。
そうだ、と、エドモンドは思い出した。
バレット家の人間たちのための部屋が、上階に用意されているはずだった。
まだ通されてはいないが、普通に考えれば、エドモンドとオリヴィアの部屋、それからローナンの部屋と、使用人用の小さい部屋か相部屋があるはずだ。
オリヴィアは下階にはいなかった。
それはつまり、上階にいる可能性が高いということだ。
あの世話のかかる我が妻は、重ねた椅子から落ちたり、肌をむき出しにして街に出たがったり、エドモンドの欲望をこれでもかとかき回し続けるだけでは飽き足らないらしい。
舞踏会が行われている屋敷の上階といえば、当の舞踏室や大広間よりも、ずっと華やかな宴が繰り広げられていることの方が多いのだ。
みだらで、危険な宴が。
くそ!
エドモンドは焦燥のあまり、雨で濡れたテラスを足で蹴った。
本当に。
次にあの水色の瞳と向き合うことができたときは……覚悟をしておいたほうがいいようだ。
私も、彼女も、その周囲の人間も。


