「これは……」オリヴィアは遠慮がちにたずねた。「とても興味深いスープですね。よかったら、何が入っているのか教えてくださらないかしら」
「このスープの中身かい?」
「ええ、まぁ」
オリヴィアは銀のスプーンをいじりながらマギーを見つめた。
マギーは驚いたような表情でオリヴィアを見返した。まさか聞かれるとは思っていなかったようだ。
「これはバレット家秘伝のスープなんだよ。でも、そうだね。あんたもエド旦那の心をしっかり繋ぎとめておきたかったら、作り方を覚えておくといい。知ってるかい? 夫の手綱を握るには、まず胃袋からさ」
「そうなのですか」
「で、このスープだけどね、ベースは鶏レバーのペーストさ。それに鱗を取った魚をまるごと。ニンニクをたっぷり。魚の骨が溶けるくらいまでじっくり煮込むのがコツだよ」
「まあ……」
オリヴィアはその野生的なスープをもう一度じっくり見つめた。
朝からレバーを食べるとは聞いたこともない。
しかし、じっくり煮込むというからには、たった今オリヴィアの為だけに作られた訳ではなさそうだ。この地方の常食なのだろうか……。オリヴィアはスプーンを持つ手が微かに震えるのを感じた。
「さぁお食べ!」
マギーの瞳には一種の期待が輝いており、断るのは良心が痛んだ。
それに、もしかしたら美味しいのかもしれない。もしかしたら、だが。
ごくりと息を呑み覚悟を決めたオリヴィアは、震え続ける自分の手を叱咤し、恐るおそる僅かな量のスープを口に運んだ。
「このスープの中身かい?」
「ええ、まぁ」
オリヴィアは銀のスプーンをいじりながらマギーを見つめた。
マギーは驚いたような表情でオリヴィアを見返した。まさか聞かれるとは思っていなかったようだ。
「これはバレット家秘伝のスープなんだよ。でも、そうだね。あんたもエド旦那の心をしっかり繋ぎとめておきたかったら、作り方を覚えておくといい。知ってるかい? 夫の手綱を握るには、まず胃袋からさ」
「そうなのですか」
「で、このスープだけどね、ベースは鶏レバーのペーストさ。それに鱗を取った魚をまるごと。ニンニクをたっぷり。魚の骨が溶けるくらいまでじっくり煮込むのがコツだよ」
「まあ……」
オリヴィアはその野生的なスープをもう一度じっくり見つめた。
朝からレバーを食べるとは聞いたこともない。
しかし、じっくり煮込むというからには、たった今オリヴィアの為だけに作られた訳ではなさそうだ。この地方の常食なのだろうか……。オリヴィアはスプーンを持つ手が微かに震えるのを感じた。
「さぁお食べ!」
マギーの瞳には一種の期待が輝いており、断るのは良心が痛んだ。
それに、もしかしたら美味しいのかもしれない。もしかしたら、だが。
ごくりと息を呑み覚悟を決めたオリヴィアは、震え続ける自分の手を叱咤し、恐るおそる僅かな量のスープを口に運んだ。


