「とても素敵でした」
と、オリヴィアは恥じらいと喜びの混じった小さな声でささやいてきた。
「まるで……夢に見ていたみたいで。嬉しくて、頭がおかしくなりそうなくらい……ずっと、ずっと、したかったんです。こうしてあなたと……その、その、」
続きを言葉にするのはためらわれるようで、ここでオリヴィアは言葉をにごした。しかし、彼女がなにを言いたいのかは、エドモンドにもよく理解できた。
オリヴィアはエドモンドの衝動的な想いの暴露を喜んでいて、それを褒めてさえいるのだ。
一方、当のエドモンドは、自分の頭を斧でかち割ってしまいたいほどの後悔の念に襲われているというのに……この違いはなんだ。
彼女には常に、こんな浮世離れしたところがあって、まったく同じ問題を前にしてもそれに捕らわれないでいられる強さがあった。
──そうだ、強さだ。
エドモンドは自分が弱い人間だと思ったことはなかったが、それでも彼女が持つような、しなやかな強さは持っていない。
くそ、素晴らしい妻ではないか。
どうして私はこの期に及んで逃げ続けなくてはならないのだろう?
エドモンドはそう、強く自分を呪いつつ深く息を吸った。
「マダム……いや、オリヴィア」
エドモンドはまず周囲に鋭く目配せし、それから妻を見下ろして静かに言う。
「私はしてはならないことをした。頭がおかしくなったのは私の方だ……こんなことがあってはならなかったんだ。それを私は、自分を抑えられなかった」
「でも、私は嬉しかったわ。きっとこれでよかったんです」
そう言いきったオリヴィアの瞳は、純粋な確信に満ち溢れているようだった。
エドモンドは低いうなり声を上げながら、この可愛いらしい分からず屋の妻の腕を引いて、早足で部屋の端のほうへと移動しなければならなかった。
「よく聞くんだ、オリヴィア。私は何度も同じことは言わない。私たちは別れなければならないんだ……そしてその理由は、あなたもよく分かっているはずだ」
予想はしていたことだが、オリヴィアは悲しげに目を曇らせてじっとエドモンドを見つめている。


