お互いの右手を合わせて、見つめ合いながらその場を回転する動きがくると、胸の苦しさは頂点を迎えた。
二人は手を合わせる。
エドモンドは切ない瞳でじっくりとオリヴィアを見下ろし、オリヴィアもそれと同じくらい感情的な瞳で彼を見上げながら、この貴重な一瞬、一瞬を魂に刻み込もうと、ゆっくりと動いた。
甘くて、残酷なひと時。
ヴァイオリンのメロディーまでが、離れ離れになろうとする恋人たちを慈しむように、優しく流れるのだ。そして二人を照らすシャンデリアのきらめき。
オリヴィアはこのままエドモンドの胸にすがりたかった。
今なら、エドモンドの胸にすがって泣けば、彼はオリヴィアの願いを受け入れてくれそうな予感がして仕方がなかった。でも、時間は無情にも着々と進み、結局二人はまた離れ離れになる……。
そして気がつけば曲は終わりに差し掛かり、最後の瞬間に近づいてきていた。
二人の手は再び離れ、もうこれ以上……。
その時、
「オリヴィア」
オリヴィアは自分を呼ぶ低い声を聞いた。
それが、エドモンドの声だと理解できるまでに一瞬の間があったが、幻聴とは考えられないほどしっかりとした響きをしていて……間違いようはない。
オリヴィアはたまらなくなって、離れそうになるエドモンドの指を探って、まるで駄々をこねる子供のようにきゅっと握ってみた。
私から離れないでと、瞳をうるませながら彼を見つめて懇願する。
「だめだ──」
と、かすれた声でエドモンドが言ったのと、彼の上半身が飢えた野獣のように動いたのは同時だった。
本来なら、オリヴィアの身体がヒューバートの隣にゆだねられるはずの瞬間、エドモンドの腕が素早くオリヴィアの腰に回り、彼女をくるりと彼の目の前に回転させていた。
「何をするんだ、エドモンド、一体──」
ヒューバートがそう早口に文句を言おうとする声が背後からしたが、オリヴィアの心にはまったく響かなかった。
次の瞬間……オリヴィアの唇は、エドモンドに奪われていた。
とたんに、心臓があったはずの場所に熱い炎が満たされていくような感覚がして、オリヴィアは肢体を支える力を失っていった。
「あ……」
オリヴィアが小さな声を漏らすと、エドモンドは──オリヴィアの夫は──それを吸い取ろうとするように再び唇を重ねる。
そして、カドリールが最後の一節を奏でるまで、妻を離すことはなかった。


