グラスを持つエドモンドの手が、病的なまでに震え始める。
どうして私はこんなところで、まるでおあずけをくらった犬のように、妻が他の男と笑い、踊り、語り合うのを眺めていなくてはならない?
いや、そもそも、どうして舞踏会になど来る気になったのだろう?
いや──違う。
それよりもずっと以前に、どうして自分はオリヴィアを愛してしまったのだろう。
最初から分かっていたはずだった。
バレット家の呪いが存在する限り、エドモンドに彼女を愛する資格はない。
分かっていたのに抗えなかった罰が、今のこの状況なのだとすれば、すべては自分自身が蒔いた種なのだ。
何を。
何を待っていたのだろう? 奇跡か? 神の慈悲か?
何かが起きて、二人の運命に光が差して、彼女をこの腕に抱ける日が来るのを待っていたというのか?
だからこうして、今日この日まで決別の日を先延ばしにし続けてきて、それで最後にもがき苦しむはめにおちいっているのだ……。
エドモンドは奥歯からギリギリと音がしてきそうなほど強く歯軋りをした。今なら牛の骨だって生で噛み砕ける。
この手で月を掴めと言われたら、そうしただろう。
どんなことでも受け入れられる。
もし、本当に奇跡が起きるのなら。


