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馬車での道中は思ったよりも快適で順調だったが、オリヴィアは目標を果たせないでいた。
つまり、ピートから秘密を聞き出すことができないままでいたのだ。
四人は窮屈な馬車の中で肩を寄せ合って座っていたが、時々エドモンドかローナンが御者を助けるために外へ出たり入ったりして、なかなかゆっくりできる機会はなかった。
ピートは黒の礼服を着込んでいたが、四方に飛び散った髪はそのままで、それが余計に普段以上の迫力を放っている。
ローナンはいつもの優しい調子でオリヴィアの美しさを褒めたたえ、老人はお得意の毒舌でそれを否定し、エドモンドは必要以上には喋らなかったが、つねにオリヴィアのことをじっと見つめていた。
ピートはもうバレット家の秘密については語らないつもりらしく、オリヴィアがそれとなく質問しても無視した。
屋敷が近づいてくると、他の来賓の馬車や人々の群れで賑やかな騒音が聞こえはじめ、オリヴィアの心はそわそわと躍りだす。エドモンドは小さな窓からのぞいて外を確認すると、心なしか険しい表情をした。
そんな彼を見ながら、オリヴィアの心臓の音はますます急いた。
(神さま、どうか私たちを助けてください)
オリヴィアは胸元を飾る緑の宝石に手を触れて祈った。
(本当は嫌なの。これが最後の夜になるなんて、本当は我慢できない)


