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それから数日が過ぎて、オリヴィアは後悔が何たるものかを深く学ぶことになった。
(も、もう、いっそのこと……)
あの好色な老人の願いを叶えてやればよかったのかもしれないとさえ、考え始めていた。
ピートはたいてい屋敷にいたが、部屋に引っ込んでいることの方が多く、食事もそこに運ばせている。彼が気まぐれに屋敷内を徘徊する貴重なときを狙って、オリヴィアは彼に接近してみたが、例の毒舌でのらりくらりとかわされてしまうのだった。
彼の言う「呪いの存在しない理由」が分かれば、エドモンドもきっと心を変えてくれるだろう。
オリヴィアは必死だったが、ピートはついに口を割らなかった。
その上、こんな時に最も頼りになりそうなローナンが、用事があるとかで数日かけて留守にしている。
そして肝心のエドモンドは器用にオリヴィアを避けていた。
(舞踏会まであと二日……)
楽しい時間は早く過ぎ、苦労している時間はゆっくりと過ぎるというのは、絶対の真実だったわけではないらしい。
時間が過ぎるのが早かった。
オリヴィアは焦ったが、時は刻々と刻まれていって、ついに舞踏会は目前となった。注文のドレスがマーガレットの仕立て屋から届き、その見事な出来栄えにオリヴィアは感心した。
──ただ、スケッチにあったよりも胸元が大胆に開かれているように見えるのが、少し気になったが。
舞踏会のワルツが聞こえてくるようだ……。
狂乱の舞台が幕を開き、運命の狂想曲が高らかに奏でられようとしていた。


