手馴れたマーガレットによってエドモンドから引き離されたオリヴィアは、店の奥にある採寸室へあれよあれよという間に連れて行かれる。
採寸室は、天井から下がったカーテンで店内と仕切られているだけの空間だったが、中に入るとなかなか大きく、興味深いものが沢山並んでいた。
大きな全身鏡が三つ、採寸台を囲むように立っている。
壁には生地やレースの見本が掲げられていて雑然としていたが、板張りの床はよく磨かれていて清潔だった。そしておもむろに壁に掛けられていた皮製の定規を肩に置いたマーガレットは、いくつもの待ち針が刺さった針クッションを手元に置くと、優雅に微笑んで両手を胸の前で合わせた。
「さあ、こちらにいらして!」
オリヴィアはびっくりして、目の前にいるマーガレットと背後にいる三人の男たちを交互に見回した。
カーテンは開いたままだ。
もちろんオリヴィアは、何度も仕立て屋で採寸したことがある。
オリヴィアの母は早くに亡くなっていたから、多くは姉のシェリーにお目付け役になってもらって、おもに地味で家庭的な仕立て屋を好んで訪れていた。
派手好きで流行を追い求めるシェリーは時々文句を言ったが、そういった小さな店で扱う古典的なドレスの方がオリヴィアに似合うことは認めていて、あれこれと色を選ぶのを助けてくれたりした。
袖の長さや胸元の繕いについて仕立て屋に助言をしたり。
採寸をするとき、髪を持ち上げてくれたり。
(えっと……それを頼んでもいいのかしら)
立ち尽くしている大柄な男三人衆を眺めながら、オリヴィアは困惑した。いいとしたら……誰に頼むべきだろう?


