ところ変われば……人も変わるものなのだ。
素朴で穏かなウッドヴィルの人々に囲まれて、オリヴィアはすっかり機嫌を取り戻していた。何よりも嬉しかったのは、他でもない、エドモンドが躊躇なくオリヴィアを彼の妻だと公言して回ってくれることだった。
それでも、
「おめでたいことだわねぇ、お幸せに」
そう言ってある初老の女性に手を握られたとき、オリヴィアの心は少し痛んだ。
──おめでたいこと。
──お幸せに。
もしエドモンドとオリヴィアが普通の幸せな新婚の夫婦だったら、こんなに嬉しい祝いの言葉はないけれど、二人の関係は普通とは少し違う。
エドモンドはぴたりとオリヴィアの後ろに立って、彼女の背にさりげなく手をあて続けていた。
彼の手には魔法があるんだわ、とオリヴィアは思った。
そうでなければ自分がおかしくなってしまったんだ。ただドレス越しに手を触れられているだけなのに、こんなに身体中が上から下まで熱く疼くなんて。
でも、時々オリヴィアがエドモンドを振り返って見上げると、彼はどこか緊張した顔をしていた。
それがなぜなのか、オリヴィアには分からない。
図らずも街に出ることになったせいで、仕方なく、オリヴィアを妻だと宣言しなければならなくなったから機嫌が悪いのだろうか……。
オリヴィアの立ち居振る舞いがよくないのだろうか。それとも、単に街が苦手なだけなのか。
どんな理由にしても、見通しは明るくなかった。
新婚の妻を紹介する夫が強張った顔をしているのだから、周囲からは当然、いぶかしがられているはずだ。ノースウッド伯爵は新妻に満足していない。きっとそう思われているだろう──。
素朴で穏かなウッドヴィルの人々に囲まれて、オリヴィアはすっかり機嫌を取り戻していた。何よりも嬉しかったのは、他でもない、エドモンドが躊躇なくオリヴィアを彼の妻だと公言して回ってくれることだった。
それでも、
「おめでたいことだわねぇ、お幸せに」
そう言ってある初老の女性に手を握られたとき、オリヴィアの心は少し痛んだ。
──おめでたいこと。
──お幸せに。
もしエドモンドとオリヴィアが普通の幸せな新婚の夫婦だったら、こんなに嬉しい祝いの言葉はないけれど、二人の関係は普通とは少し違う。
エドモンドはぴたりとオリヴィアの後ろに立って、彼女の背にさりげなく手をあて続けていた。
彼の手には魔法があるんだわ、とオリヴィアは思った。
そうでなければ自分がおかしくなってしまったんだ。ただドレス越しに手を触れられているだけなのに、こんなに身体中が上から下まで熱く疼くなんて。
でも、時々オリヴィアがエドモンドを振り返って見上げると、彼はどこか緊張した顔をしていた。
それがなぜなのか、オリヴィアには分からない。
図らずも街に出ることになったせいで、仕方なく、オリヴィアを妻だと宣言しなければならなくなったから機嫌が悪いのだろうか……。
オリヴィアの立ち居振る舞いがよくないのだろうか。それとも、単に街が苦手なだけなのか。
どんな理由にしても、見通しは明るくなかった。
新婚の妻を紹介する夫が強張った顔をしているのだから、周囲からは当然、いぶかしがられているはずだ。ノースウッド伯爵は新妻に満足していない。きっとそう思われているだろう──。


