ローナンは笑いを堪えるのに必死だった。
オリヴィアを紹介する相手に老ヘンリックを選んだのも愉快だが、どうも兄は、新妻の胸元を他の男たちに見せるだけの心の広さは持ち合わせていなかったらしい。
可哀想なオリヴィアは年季ものの馬車の張り布を首のあたりに巻き付け、まるで変わった鶏のような姿にされている。ただ幸いなことに、この田舎町では、一種のファッションとして受け入れられているようだった。都会だったらこうはいかなかっただろう。
エドモンドはぴったり彼女の後ろに張り付いて、警戒するような視線を四方に巡らせている。
多分、オリヴィア以外の全員が気付いているはずだ。
オリヴィアはエドモンドのものであり、彼女に手を出そうとする者は誰であれ、かなり厄介な目にあうことになる……と。
感心したくなるほど器用に若い男を避けながら町人に挨拶して歩き、祝いの言葉を受けているエドモンドを少し離れたところから眺めていたローナンだが、ふと、人垣の向こうにマーガレットの顔を見つけて首を伸ばした。
──仕立て屋の女主人は、早くオリヴィアを紹介して欲しくて痺れを切らしているようだった。
「分かっていますよ」
と、ローナンは遠くから呟いて見せた。
オリヴィアを紹介する相手に老ヘンリックを選んだのも愉快だが、どうも兄は、新妻の胸元を他の男たちに見せるだけの心の広さは持ち合わせていなかったらしい。
可哀想なオリヴィアは年季ものの馬車の張り布を首のあたりに巻き付け、まるで変わった鶏のような姿にされている。ただ幸いなことに、この田舎町では、一種のファッションとして受け入れられているようだった。都会だったらこうはいかなかっただろう。
エドモンドはぴったり彼女の後ろに張り付いて、警戒するような視線を四方に巡らせている。
多分、オリヴィア以外の全員が気付いているはずだ。
オリヴィアはエドモンドのものであり、彼女に手を出そうとする者は誰であれ、かなり厄介な目にあうことになる……と。
感心したくなるほど器用に若い男を避けながら町人に挨拶して歩き、祝いの言葉を受けているエドモンドを少し離れたところから眺めていたローナンだが、ふと、人垣の向こうにマーガレットの顔を見つけて首を伸ばした。
──仕立て屋の女主人は、早くオリヴィアを紹介して欲しくて痺れを切らしているようだった。
「分かっていますよ」
と、ローナンは遠くから呟いて見せた。


