群集の中にいくつか見知った顔が並んでいたので、その中から最も年配の、最も害のなさそうな男を選んでその前に進み出る。
「オリヴィア、こちらは元町長のヘンリック氏だ」
ヘンリック氏には歯がなかった。
町長だったというのも、多分100年くらい昔の話だろう。干からびたスモモのような肌で、白内障のためか目が白く濁っている。しかし優しそうな顔付きの老人だった。ヘンリックは震える手をオリヴィアに差し出した。
「ヘンリック、こちらはオリヴィア・バレット──私の妻だ」
エドモンドが紹介すると、ヘンリックとオリヴィアは手を握りあった。
「オリヴィアと申します。どうぞよろしくお願いします」
「光栄ですぞぉ、レイディ・ノォースウゥッド」
そう言って、ヘンリックはさらに何かありがたそうな祝辞をもごもごと続けたが、方言のようなものが混じっていてオリヴィアにはよく分からなかった。助けを求めるようにエドモンドを見たが、彼は軽くうなづくだけだ。
元町長と手を握り合う伯爵夫人を、町人たちは遠巻きに見ている。
とにかく重要なのは、エドモンドがオリヴィアを妻と公言したことだ。これで誰もがオリヴィアを新しい伯爵夫人として受け入れることになる。
ある者は驚きをもって。ある者は歓喜をもって。そして少数ではあるが、ある者は嫉妬の混じった感情をもって、ウッドヴィルはオリヴィアを歓迎した。
「オリヴィア、こちらは元町長のヘンリック氏だ」
ヘンリック氏には歯がなかった。
町長だったというのも、多分100年くらい昔の話だろう。干からびたスモモのような肌で、白内障のためか目が白く濁っている。しかし優しそうな顔付きの老人だった。ヘンリックは震える手をオリヴィアに差し出した。
「ヘンリック、こちらはオリヴィア・バレット──私の妻だ」
エドモンドが紹介すると、ヘンリックとオリヴィアは手を握りあった。
「オリヴィアと申します。どうぞよろしくお願いします」
「光栄ですぞぉ、レイディ・ノォースウゥッド」
そう言って、ヘンリックはさらに何かありがたそうな祝辞をもごもごと続けたが、方言のようなものが混じっていてオリヴィアにはよく分からなかった。助けを求めるようにエドモンドを見たが、彼は軽くうなづくだけだ。
元町長と手を握り合う伯爵夫人を、町人たちは遠巻きに見ている。
とにかく重要なのは、エドモンドがオリヴィアを妻と公言したことだ。これで誰もがオリヴィアを新しい伯爵夫人として受け入れることになる。
ある者は驚きをもって。ある者は歓喜をもって。そして少数ではあるが、ある者は嫉妬の混じった感情をもって、ウッドヴィルはオリヴィアを歓迎した。


